有限生成錐 ↔ 多面体的錐の証明
有限生成錐は多面体的錐であり,逆も成り立つ,という定理がある.(p.77, 線形代数II 室田+杉原, 丸善出版)
- 作者: 室田一雄,杉原正顯,東京大学工学教程編纂委員会
- 出版社/メーカー: 丸善出版
- 発売日: 2013/10/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この証明は読みやすいものであるが,後で自分で再現できる自信がなく,いつでも再現できそうな証明を作った. 双対錐を考えることで見通しが良い証明になった気がします.
質問,指摘など歓迎します.
定理
- 任意の行列 について,ベクトルの有限集合 が存在して
- 任意のベクトルの有限集合 について,行列 が存在して
ここで はベクトルの集合 を含む最小の凸錐.
証明
2 は Fourier–Motzkin elimination - Wikipedia, the free encyclopedia を用いればOK.
1 を示す.任意の多面体的錐の双対錐が有限生成であることをいえばOK.(∵ これが示されれば,2. とあわせて双対錐が多面体的だといえる.したがって双対錐の双対錐(多面体的錐は閉凸錐であるので元の錐と一致する)が有限生成だと言える.)
の列ベクトル集合が生成する閉凸錐も と書くことにする. また注目する錐を とする. を言えれば十分. これは(が閉凸錐であるから) と同値であるので,これを示す.
まず を示す. つまり とする. の任意の元 と内積をとると .従って
つぎに を示す. を の元とする.任意の について .特に任意の ( は の行集合)について ( は標準基底の元). したがって であり,.